ART OF FIGHTING
龍虎の拳 外伝

MVS:102900円、ネオジオ:33600円、ネオジオCD:限定9240円通常8190円
PS2版(1、2、外伝のセット):5040円、PS2ベスト版(1、2、外伝のセット):2079円

 「龍虎の拳」第三弾にして外伝にして現時点の最終作。
 前作より半年後、舞台はサウスタウンから東へ移動し、グラスヒル・バレーとなった。また、「外伝」だからなのか、主人公もリョウからロバートに変更となった。
 前二作とはガラリと雰囲気を変え、新たな2D格ゲーの可能性に挑戦した意欲作。
 キャラクターはロバートとリョウ以外は総入れ替え。龍虎1に出てきた藤堂の娘・香澄以外は今までの作品と繋がりのない新キャラとなった。
 今作では
キャラの動きにモーションキャプチャーを導入し、格闘家やアクション俳優の動きを取り込む事で、凄まじくなめらかな動きを可能とした。しかしこの技術は。ポリゴンを用いずにキャプチャーした動き全てをドットで描き起こしたため、あまりにも作業量が増え過ぎてしまったらしくこれ以降は採用されていない
 一撃必殺の格闘ゲームとして名を馳せたシリーズだが、今作が出た1996年はバーチャファイター2や鉄拳2といった3D格闘ゲームの人気が高まっていた。龍虎外伝はその3D格闘ゲームの要素を取り入れようと挑戦したふしがある。
 それが
浮かせ技ラッシュ攻撃ダウン追い打ちだ。
 全キャラに「ヒットすれば相手を浮かせる事が出来る」という属性をもった技を用意し(必殺技や特殊技とは限らず、通常技に浮かし属性を持たせたキャラもいる)、浮いた相手に追撃を決めるという事が可能になった。
 浮いた相手やダウンしている相手にも「くらい判定」が残っているため、空中での追撃やダウン追い打ちといった"3D風"要素を盛り込んだというわけだ。
 ラッシュ攻撃はラッシュ始動技からタイミング良くボタンを押すことによって連続で攻撃をするというもの。必ずしも連続ヒットする(いわゆる連続技になる)わけではなく、使えるラッシュ攻撃とそうでないものの差もあった。
 このラッシュ攻撃の搭載により、「一撃必殺」のイメージが薄れる事になるが、それでも当時の格闘ゲームとして充分高い威力設定だった。
 これらの要素は決して成功したとは言いがたいが、龍虎外伝しか持ち得ない味であることは確かで、モーションキャプチャーされた動きを連続して繰り出すラッシュ攻撃は今見ても美麗な動きである。

 
前作からの変更点
・ロバートとリョウ以外の全キャラ削除。
・浮かし技、ラッシュ攻撃、ダウン追い打ちの追加
・A、B、Cボタンの性質が変更
・ふっとばし攻撃の追加
・さばきの追加
・アルティメットKOの追加
・ヒートモードの追加
・ボーナスゲームの削除
・三角跳びの削除
・誕生日システムの搭載

 ボタンの性質だが、A、Bボタンは前作では押す長さで強弱が変わっていたが、今作ではAはパンチ、Bは蹴りという明瞭な操作のみになった。Cボタンは前作では弱攻撃・三角跳びで使用されたが、今作では三角跳びが削除されて相手をダウンさせる
ふっとばし攻撃に変更になった。気力溜めも前作ではAかBかCを押しっぱなしだったが、今作ではAかBか、C+Dを押しっぱなしというように変化した。
 
さばき動作はレバーを後ろに入れてCを押すことによって出る。これは相手の地上基本技を受けると、それをさばいて体勢を崩すことができるというもの。
 
アルティメットKOは、相手の体力が8分の1以下の時に超必殺技で倒すと発動。これを決めると、相手の衣服がやぶれた上で勝負に決着が付く。たとえ1ラウンド目でも、アルティメットKOが発動したら2ラウンド目には移らずそのまま勝利となる。
 
ヒートモードは、こちらの残り体力が4分の1以下になると、身体が赤く点滅して攻撃力が1.2倍になるというものだ。
 おまけと言ってはなんだが、
誕生日システムは筐体内部のカレンダーを利用し、各キャラクターに設定されている誕生日当日のみ、そのキャラクターが常時ヒートモードになるというお遊び要素。主人公であるロバートは誕生日が12月25日のクリスマスなので、ロバートで誕生日の恩恵にあずかった人は、ちょっと寂しい思い出も同時に持っている事が多い。
 なおこの誕生日システムは家庭版では削除されている。

 龍虎2でも書いたが、当シリーズは全作品それぞれ別物と言って良いほど操作感覚が違い、雰囲気も違う。
 前作ではコメディタッチだった雰囲気も、今作では随分と渋く方向修正されている。ロバートが主人公だからかも知れないが、筆者は今作の雰囲気が好きだ。
 あるキャラのエンディングで登場するユリの性格も、龍虎1エンディングと龍虎2のぶっ飛んだ性格の間を取ったような感じになっており、3作目にしてユリの方向性も見えてきたかなと思え――たのだが、4作目が出る前にKOFのユリが定着してしまったので、もはや方向の修正は容易ではない。残念ながら龍虎2の後にKOF94、95が出てしまい、それらは龍虎2のぶっ飛んだ性格がベースとなってしまった。以後もそんな感じである。
 今作はゲーセンで見かけることが少なく、プレイしている人を見かけるのはもっと少なかったが、カーマン・コールや藤堂香澄といったキャラは今でも人気があり、他の2D格ゲーでは味わえない独特の操作感覚と雰囲気に根強いファンがついている。

 なお、
ロバートとリョウ以外のキャラクターはボス戦以外にデモが存在しない
 また、
シンクレアとワイラーはネオジオCD版しかストーリーが存在しない
 一応シンクレアとワイラーは隠しキャラだが全ての機種で使用可能で、ネオジオCD版とPS2版では最初から選択可能である。ただし、
PS2版はネオジオ版をベースにしているので、CD版のデモは存在しない
 
ネオジオCD版は、他機種版に比べてキャラクターが小さい事も注意。これは今作のアニメパターンが多すぎて処理が大変だったというのが理由だ。キャラを縮小して、背景を広く表示する、つまりカメラを少し引いた状態でプレイしていると考えて貰いたい。このように縮小してでも、キャラのパターンを削らなかったというこだわりが垣間見える仕様だ。

ストーリー(導入)

 ギースによって開かれた新たな異種格闘技イベント「キング・オブ・ファイターズ」から半年、ロバートは幼馴染のフレアと偶然再会する。
 ロバートは彼女がグラスヒル・バレーへ向かうと知り、ボディガードを買って出る。だが、フレアは秘密を隠している様子で、彼女を狙って賞金稼ぎなどが襲いかかってくる。
 時を同じくして、リョウはガルシア財団のエージェント、カーマンからロバートが行方不明になったと聞き、親友を捜すためにユリと共に足跡を辿り始めるのだった。

システム

フロントステップ:
バックステップ:
ジャンプ:
小ジャンプ:(短く)
パンチ:A
キック:B
ハードブロウ:C
挑発:D
高速起き上がり:ダウン中にレバー回転

気力溜め:AorBorC+D押しっぱなし(ダウン中可)
中段パンチ:+A
中段キック:+B
ダウン追い打ち:相手ダウン中に+AorB
起き上がり攻撃:自分ダウン中に+AorB
投げ:相手が立ち状態の時に+C
さばき:+C
キャラクター&技表
(全10人。名前クリックで技表へ)
ロバート・ガルシア リョウ・サカザキ
ロディ・バーツ レニィ・クレストン
不破刃 王覚山
藤堂香澄 カーマン・コール
シンクレア ワイラー
隠し要素、裏技等

全機種共通
香澄のくしゃみ:
 香澄が勝利した際に、負けた側のプレイヤーが勝利ポーズを取られる前からAボタンを押しっぱなしにすると、香澄がくしゃみをする。この時に、勝った側のプレイヤーもAボタンを押しっぱなしにしていると、くしゃみの声が変わる。

香澄の挑発:
 香澄は対極限流の時だけ挑発が変化し、気力を一気に9割ほど減らす事ができる。

エンディングで王覚山が描く絵を選ぶ:
 王覚山のエンディングで、スケッチブックから紙が舞い上がった時にコマンドを入力することで、最後に表示される絵を任意で選ぶことができる。コマンドはそれぞれ、「ロバート:A、リョウ:B、カーマン:C、香澄:D、ロディ:レバー+A、レニィ:レバー+B、不破:レバー+C」である。

対人戦勝利メッセージの選択:
 対人戦の勝利メッセージは、勝利後にボタンを押しっぱなしにする事でタイプを選ぶ事ができる。
 「A:尊敬、B:通常、C:余裕、D:挑発」といった感じなので、状況に合わせてどうぞ。

脱衣:

 既に隠し要素ではないが、今回はアルティメットKOを決めると服が破れる。

勝ち抜き人数の表示
 対人戦で一度でも勝つと次の試合から、体力ゲージの上に何人抜きかという文字が出る。これが10人以上になると数字ではなく、文字による表示に変わる。それぞれ何人抜きで、どの表示に変わるかは、
「10人:中級、15人:上級、20人:熟練、25人:有段、30人:師範、35人:達人、40人:名人、45人:覇者」といった具合だ。

MVS版
シンクレアとワイラーの使用
 MVS内の時計が96年4月26日を越えると、シンクレアとワイラーが使用可能になる。

ネオジオ版
シンクレアの使用:
 キャラ選択画面で、不破→カーマン→レニィ→王→香澄→ロディ→リョウ→ロバートの順番でカーソルを合わせながらBを押していくと、画面左に矢印が出現し、シンクレアを選ぶことができる。

ワイラーの使用:
 キャラ選択画面で、ロバート→リョウ→ロディ→香澄→王→レニィ→カーマン→不破の順番でカーソルを合わせながらBを押していくと、画面右に矢印が出現し、ワイラーを選ぶことができる。

ネオジオCD版
カラーエディット機能:
 CPU戦を10分未満でクリアすると、オプションにカラーエディットが追加される。
 なお、色を変更した場合はCPUキャラクターにも適応される。

デモ鑑賞機能:
 CPU戦を8分未満でクリアすると、オプションにデモ鑑賞モードが追加される。
 ここでは全キャラのデモやエンディングを見る事ができる。

スピード調整機能:
 CPU戦を6分未満でクリアすると、オプションにスピード調整が追加される。
 ここではキャラの移動や技などの動作速度を1Pと2P個別に設定できる。

攻撃力設定機能:
 CPU戦を4分未満でクリアすると、オプションに攻撃力設定が追加される。
 ここではパンチ、キック、投げ技、必殺技、超必殺技の威力を任意に振り分ける事ができる。


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