橘右京 | 黒河内夢路 | 羅刹丸 |
公式見てない人用の簡易紹介 不治の病に冒された居合いの天才。師・黒河内左近の子で友でもあった夢路が勘当された日の事を思い出す。別れの時に何も言葉をかけてやれなかったという悔いがある。夢路の行方は知れず、子を待つ母の姿が目に入る。どうせ死ぬのならば、誰かの役に立ちたいと、右京は夢路を探す旅に出る。 旧作との違い:病の進行が旧作に比べると少しだけまし。病に蝕まれていく己を恥じている。 |
公式見てない人用の簡易紹介 右京の旧友にして、兄弟弟子の居合い使い。師でもある父と決別し、深く傷ついて家を離れるが、別れの際に言葉をかけてくれなかった右京に複雑な感情を持っている。我旺に心酔しており、我旺の邪魔となる者は子供であろうが斬って捨てるが、斬るたびに自らの心も傷つけている。幻術を使って別人になりすますことが出来る。動作は旧作の羅刹右京をベースにして、他のキャラの技をコピーして使う。新キャラ。 |
公式見てない人用の簡易紹介 覇王丸の魂から生み出された反面の存在。残虐と狂気の塊。覇王丸の心臓を喰らう事で完全な存在になれると信じて、彼を殺すために旅を続けている。糞尿と臓物の事ばかり喋る。動作は旧作の羅刹覇王丸をベースにしているが、新キャラ。 |
オープニング 赤穂 恋ヶ浜 |
オープニング 山城 無宿村 |
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浜辺に足首まで伸びた髪を後ろで纏めた女性と、彼女に背を向けた右京が立っている。 雪路(夢路の母)「もう……随分になりますわね……」 右京「……。」 雪路「夢路が……あの子が家を出て3年……。どこで何をしているのか連絡のひとつもなくて、心配で心配で……。やはり、右京さんのところにも、何の音沙汰も……?」 右京「……。」 雪路「そう……。何かありましたら、教えてくださいな、右京さん。」 右京「……は。」 右京、咳き込む。心配した夢路の母が一歩前へ。 雪路「いかがなされました? 右京さん……?」 右京「……御免。」 走り出す右京。画面も僅かに右へスクロールし、女性がフレームアウトすると右京が立ち止まり、もう一度咳き込む。 右京「……夢路……殿……。死を待つばかりのこの命……最期ぐらい……誰かの……役に立つ……ならば……。」 右京、走り去って暗転。 |
浜辺に足首まで伸びた髪を後ろで纏めた女性と、彼女と向き合う右京が立っている。 右京「ご無沙汰……しております。」 雪路(夢路の母)「右京さん。お久しぶりね。」 右京「先日、夢路殿とお会いしまして――」 画面が上へスクロールし、暗転。黄泉ヶ原に切り替わる。画面が下へ移動すると、夢路と我旺が立っている。 我旺「夢路、これよりうぬも各地よりますらおを我の元に集わせよ。従わぬようであれば……如何に小さな禍根であろうと断て。よいな。」 夢路「心得ました。各地を奔走し我旺様の腹心となれる剛の者を送り届けましょう。そしてこの夢路、必ずや国賊どもを誅殺すべく我旺様の元に馳せ参じます。」 我旺「うぬの忠義、真に痛み入る。それに応えるだけの恩賞など与えられもせぬが 我が大儀を成就させることで、うぬの忠義に報いよう。許せよ、夢路。」 夢路「我旺様の大儀は夢路の大儀にございます 我旺様の大儀が成就するその始終を、我旺様のお側で見届ける許しくださいませ。それこそ、この夢路にとって何よりの励みにございます。」 我旺「なればこの兇國我旺、再び鬼十字と成り果て、道を拓こうぞ。ワシの背は、うぬ以外には決して預けぬ。」 夢路「もったいないお言葉を……。黄泉路の彼方までも御供仕ります。では一刻を争うこの状況、いつまでもゆるりとしてはいられませぬ。我旺様のご期待に必ずや応えてみせましょう。」 夢路、一礼して走り去る。 我旺「倒幕の軍備が急務となるこの時期に、うぬを手元に置けぬは遺憾であるが……ワシはワシの為すべきことを為すのみよ。」 画面が上へスクロールして暗転。 |
無宿村で羅刹丸が身構えている。羅刹丸、構えを解いて刀を舐める。 羅刹丸「いいねぇ……この手応え……。」 刀を肩に担ぐようにして振り向いて、跳躍する。それに合わせて画面が右へ素早く移動。刀を持った半裸の男が腰を抜かして震えている。羅刹丸、その前に着地すると、自分の額を指さす。 羅刹丸「なァ、おい。俺様の質問に答えろよ。」 男「ヒッ! 悪かった、悪かった! 何でも聞いてくれ、何でも!」 羅刹丸「別に俺だって、殺したくて殺してるんじゃあねぇんだ。お前ら、この俺様に何だって? 教えて欲しけりゃ身包み置いてけだと? あァ?」 男、腰を抜かしたまま後ずさる。羅刹丸、刀を肩に担ぐ。 男「だから悪かったって!」 羅刹丸「口の利き方に気ィつけろ、小便野郎。」 羅刹丸、刀を舐める。 羅刹丸「覇王丸ってヤツ、知らねェか? 俺そっきりなヤツだけどよォ。知ってりゃ手前ェは逃がしてやらァ」 男「あ……ああ、知ってる。何日か前に、会った……あんたにそっくりな奴だった。滅茶苦茶強ぇ奴で、日輪に行くとかなんとかって……。」 羅刹丸、威嚇するように身を乗り出し、自分の額を指す。 羅刹丸「ガセじゃねェだろうなァ?」 男「日輪に強い奴が集まってて面白そうとかって言ってた。本当だ!」 羅刹丸、刀を手に取って肩に乗せる。 羅刹丸「そうかそうかァ……ありがとよ。んじゃ、死ねや。」 言うなり男を斬り捨て、男は吹っ飛んでフレームアウト。 羅刹丸、腕をだらんと下げてから、両手を広げて笑い始める。 羅刹丸「へっへっへ……やっと尻尾をつかんだぜ、覇王丸。ぶっ殺してやる。テメェの心臓でも食わなきゃおさまりつかねェんだ……。」 走り去って画面暗転。 |
1〜4人目勝利後 | ||
1人目:……。 2人目:夢求め…… 3人目:……野路を逝かん…… 4人目:……春疾風 右京 |
1人目:我らの目に適う剛の者は何処にいるのでしょうか 2人目:さて……次はどちらに行きましょうか。 3人目:他の者をあたりましょう。 4人目:その程度で剣を修めているとは笑い話にもなりませんよ。 |
1人目:さァて……覇王丸よォ。今から殺しに行ってやるぜェ。 2人目:適当にブッ殺しながら行くか。 3人目:出会った奴ァ片っぱしから殺さねェと胸糞悪ィなァ。 4人目:覇王丸のヤツ、今ごろ小便もらして震えてるに違いねェや! |
小ボス「萬三九六(よろず・さんくろう)」 (場所ランダム) 開始前デモ |
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次の対戦相手が吹っ飛んで来て、夢路登場。 夢路「少しは楽しめると思いましたが……失望させてくれますね」 こちらに気づく。 |
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夢路「おや……? ………………っ!? う、右京殿!? 右京殿……なぜ、このようなところに……あ、いや、そうではなく……その……ご無沙汰……しております。」 | 夢路(敵)「おや……? これはまたなんとも……巧く化けましたね。何のつもりか知るところではありませんが その思い上がり、見過ごすわけにもいきませんね。恨みはありませんが……」 | 夢路「おや……こんなところで出会えるとは光栄です、羅刹丸さん。しかし、あなたが日輪の地を目指す理由、察するに我々には凶事となりかねません。されど、剛の者であることに違いはありません。我旺様に仕えるに値するか、試させていただきましょう。」 |
右京「……夢路……殿。母君が……心配されている……。安心させて……差し上げられ……よ。」 | 夢路「私以外に幻覚の術者とは……何処の草が何を目論んで我旺様に近付こうと? この黒河内夢路、母より授かりしこの身を模倣されてなお穏やかであろうとは思わぬ」 | 羅刹丸「殺し甲斐ありそうじゃねェか。クックック……いいぜ、殺してやるぜ、糞虫よォ。」 |
ステージに画面が切り替わって三九六の濃い顔がバストアップで登場。 三九六「夢路! 何をチンタラやってんだ、あぁ? どけぇ、夢路。次は俺様の番だぜ! 鬼と恐れられた、この俺様に勝てるかなぁ? んん〜?」 夢路の前に三九六が現れ、木槌の上に足を載せて力を誇示する。 夢路「母が……。右京殿、まさかそれを私に告げるために、病に冒された体で……しかし……私は、今は我旺様の……」 夢路跳び去る。 |
ステージに画面が切り替わって三九六の濃い顔がバストアップで登場。 三九六「ちょっと待てぇ! 次は俺様の番だぜ! が〜はっはっはっは! 鬼と恐れられたこの俺様…………あァ? なんだ、てめぇ?」 夢路の前に三九六が現れ、木槌の上に足を載せて力を誇示する。 夢路(敵)「いいでしょう。お任せします。如何に小さな禍根であろうとも断て それが我旺様の命です。三九六さん。くれぐれも、お願いしますよ。」 夢路(敵)跳び去る。 |
ステージに画面が切り替わって三九六の濃い顔がバストアップで登場。 三九六「ちょっと待てぇ! 次は俺様の番だぜ! が〜はっはっはっは! 鬼と恐れられたこの俺様に勝てるかなぁ? んん〜?」 夢路の前に三九六が現れ、木槌の上に足を載せて力を誇示する。 夢路「いいでしょう。お任せします。如何に小さな禍根であろうとも断て それが我旺様の命です。三九六さん。くれぐれも、お願いしますよ。」 夢路跳び去る。 |
右京「………。………………。」 三九六「てめぇ! 何とか言いやがれ! ぶっ殺してやる!」 |
夢路「道を開けてもらいましょう。どちらが本物か、わからぬほど愚かではありますまい? 三九六さん、今の私は手心を加えられるような心中ではありません。」 三九六「本物でも偽物でも構わねぇ! 前からてめぇは気にいらんかったわい! ぶっ殺してやる!」 |
羅刹丸「おぅ、なかなかの三下っぷりじゃねェか。生きてても仕方ねェだろ? なぶり殺しにしてやらァ。こいよ、三下。」 三九六「なんだと、てめぇ! ぶっ殺してやる!」 |
5人目(萬三九六)〜8人目勝利後 | ||
5人目:……夢路……殿。 6人目:夢待ちて…… 7人目:……母の心や…… 8人目:……時鳥 右京 (※ 時鳥はホトトギスと読む) |
5人目:……実に不快ですね。 6人目:嫌な予感が……。我旺様は無事でしょうか……。 7人目:幕府軍が動き始めましたか。思っていたよりも早い……。 8人目:急ぎ日輪に戻らねば…… |
5人目:殺し甲斐のある奴ばっかりってェのは面白ェじゃねェか。 6人目:さァ、覇王丸、そろそろテメェの番じゃねェのかァ? 7人目:どこから抉ってやろうかァ。やっぱ心臓は最後の最期のお楽しみだよなァ! クゥッ! 8人目:クァーッ! とっとと殺してェ! 殺してェェェェ! |
中ボス「黒河内夢路(くろこうち・ゆめじ)」 黄泉ヶ原 開始前デモ |
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戦闘ステージをバックに、夢路バストアップで登場。 夢路「右京殿……やはり、きてしまいましたか。今の私は我旺様の忠臣。右京殿、我旺様に仕える心積もりはありませんか?」 |
戦闘ステージをバックに、夢路バストアップで登場。 夢路(敵)「おや、意外な方がいらっしゃいましたね。しかし……ここまでです。我旺様の忠臣として尽力していれば幕僚として労いもしますが……。」 |
戦闘ステージをバックに、夢路バストアップで登場。 夢路「やはり、あなたでしたか。羅刹丸さん。今一度、問います。我旺様に仕える心積もりはありませんか?」 |
右京「……。……夢路……殿。…………。……すま……ぬ。」 | 夢路「私の留守の間に素性の知れぬ草を我旺様に近付かせようとは……。あえて何も問いますまい。死を以て自身の愚行を悔いるがよいでしょう。」 | 羅刹丸「さっきは三下に横槍入れられたけどよォ。今度は逃がさねェぞ、糞虫が。さァーて。どこから斬り刻んでやろうかなァ!」 |
夢路「いつか、右京殿とは本気で刀を交える日が来ると……予てより思っておりました……。どうか、この夢路めを、恨みまするな。黒河内夢路……参る!」 | 夢路(敵)「思い上がりも甚だしい。我旺様の戯れで飼われていた身の程で……。死を以て自身の愚行を悔いるのはむしろあなたの方ですよ。返り血で服が濡れるのは好ましくありませんが……黒河内夢路、参る!」 | 夢路「残念です。我旺様が拓く次の時代を供に担えるものと信じておりました 相容れぬならばここで果てるが道理。返り血で服が濡れるのは好ましくありませんが……黒河内夢路、参る!」 |
中ボス勝利後 | ||
右京「……………………御免。」 | 夢路「心の痛まぬ戦いは初めてでしたよ……。」 | 羅刹丸「ヘッヘッヘ……さァ、覇王丸、小便もらして命乞いしろよォ……!」 |
最終ボス「兇國日輪守我旺(きょうごく・ひのわのかみ・がおう)」 戦場(正式名称不明) 開始前デモ |
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戦闘ステージをバックに、我旺バストアップで登場。会話セリフとは別に我旺の固定ボイスが流れます ボイス(我旺)「我が道の後ろには、死屍累々……。鬼となりてゆくは覇道……夢幻の果て!」 我旺「夢路を倒せしますらおはうぬか。よい覇気をしておるわ!」 |
戦闘ステージをバックに、我旺バストアップで登場。会話セリフとは別に我旺の固定ボイスが流れます ボイス(我旺)「我が道の後ろには、死屍累々……。鬼となりてゆくは覇道……夢幻の果て!」 我旺「……夢路か。うぬは無事であったか。」 夢路「我旺様。只今戻りました。これより我が軍の真価を示す時。多少の劣勢など、歯牙にもかけぬと國賊どもに流す血の量で教えて――」 我旺「よい、夢路。うぬはこの地を去れ。これからは思うがままに生きよ。この戦、もはやこれまでよ。ワシは倒幕への先兵として國の礎となるべく、ここに果てるが 夢路、うぬを死なせたくはない。」 夢路「黄泉路の彼方までも御供仕ると この夢路、お約束したはず! ともに果てること叶わぬならば……いっそ……」 我旺「主君の命に従えぬ痴れ者めが……。なれば我が心、死を以て見届けぃ!」 |
戦闘ステージをバックに、我旺バストアップで登場。会話セリフとは別に我旺の固定ボイスが流れます ボイス(我旺)「我が道の後ろには、死屍累々……。鬼となりてゆくは覇道……夢幻の果て!」 我旺「夢路を倒せしますらおはうぬか。よい覇気をしておるわ!」 |
右京「………………。夢路……殿……を……。」 | 羅刹丸「あァん? こいつァ笑わせてくれるじゃねェか。俺と同じ匂いがしてやがらァ。」 | |
我旺「國賊に与する下衆め! ならば聞けい! 我が志は、國賊徳川を打ち滅ぼし、真のますらおによる國を築くこと。ならば! うぬの如きますらおは得難き宝であるとは言え我が覇道の仇と成るなれば斬って捨てるもやむを得まい。ゆくぞ、ますらおよ! 死して時代の礎となれぃ!」 | 我旺「國賊に与する下衆め! ならば聞けい! 我が志は、國賊徳川を打ち滅ぼし、真のますらおによる國を築くこと。ならば! うぬの如きますらおは得難き宝であるとは言え我が覇道の仇と成るなれば斬って捨てるもやむを得まい。ゆくぞ、ますらおよ! 死して時代の礎となれぃ!」 | |
一本勝利後 戦場→地獄絵図(正式名称不明) 闇キ皇(くらきすめらぎ)への変身デモ |
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我旺「ふははははっ! 震えが止まらぬわ! うぬの如きますらおと相対する喜び、久しく忘れておったわ! だが、我が覇道、もはや曲がることも許されぬ。されど止まる事も許されぬ。ワシの心震わせしますらおよ! 礼を言おうぞ。最期に人の心を思い出したわ。そして……人を捨てる決意も固まったわ! 闇キ皇よ! 我が魂、存分に食らえぃ!」 我旺、鎧武者姿に変化する。背景の戦場が一瞬で壊滅する。空には黒雲が渦を巻き、戦場は緑と青の炎が燃えさかる地獄絵図に。 |
我旺「このうつけめが……。」 夢路「我旺様……。どうか、この夢路の心中推察願えませぬか……。」 我旺「ならば、うぬを死なせたくないワシの心中も察せよ。もう一度、言うぞ。夢路、うぬは生きよ。剣を捨ててでも生きよ。」 夢路「我旺様の大儀が成就する始終をお側で見届ける許しを得たとは 私の思い違いでしたか……?」 我旺「夢路よ……。これ以上は言わぬ。」 夢路「……我旺様。人の心を捨て 夢路をも捨てられましたか?」 我旺「我、悪鬼羅刹と成り果て うぬもろとも、國賊全てを討ち滅ぼしてくれるわ!」 我旺、鎧武者姿に変化する。背景の戦場が一瞬で壊滅する。空には黒雲が渦を巻き、戦場は緑と青の炎が燃えさかる地獄絵図に。 |
我旺「ふははははっ! 震えが止まらぬわ! うぬの如きますらおと相対する喜び、久しく忘れておったわ! だが、我が覇道、もはや曲がることも許されぬ。されど止まる事も許されぬ。ワシの心震わせしますらおよ! 礼を言おうぞ。最期に人の心を思い出したわ。そして……人を捨てる決意も固まったわ! 闇キ皇よ! 我が魂、存分に食らえぃ!」 我旺、鎧武者姿に変化する。背景の戦場が一瞬で壊滅する。空には黒雲が渦を巻き、戦場は緑と青の炎が燃えさかる地獄絵図に。 |
右京「………。………………。…………許せん……!」 | 夢路「……思えば三年前、我旺様に救われてから夢路は幸せでありました 主君に弓引く不忠者を、恩を仇で返す恥知らずをお許しください……。黒河内夢路……参る!!」 | 羅刹丸「クゥーッ! こいつァたまんねェや! 小便みてェな人間どもは斬りあきてたんでよォ! 首刎ねた程度で死ぬなよォ……心臓抉った程度でくたばるんじゃねェぞォ!」 |
死合開始〜決着 エンディング |
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黄泉ヶ原の空から画面が下にスクロールすると、ほとんど地面に倒れる寸前、かろうじて刀にすがっている状態の夢路が居る。 夢路「我旺様……。何故ですか? 何故、私を残して……私は、我旺様無くして生きてはいけぬことも……自らの命を絶てぬことも知っておきながら……何故、このような仕打ちをなさいますか……私は、これから、どうすれば、誰に、すがって、生きていけと仰せられますか……」 夢路の前から右京が歩いてくる。 夢路、身を起こすと、目を閉じて片膝を突く。 夢路「……右京殿、笑ってください。主君の危機に駆けつけても 救うこともできず あまつさえ、最後の命を成し遂げることもできず……私は、我旺様の忠臣の真似事に浸っていただけなのでしょうね……。」 右京「……。」 夢路「家を追われたあのとき……刀を捨てる決意ができれば……もう、この手に刀は持てません……。なにひとつ、右京殿には及びませんでしたね……」 右京「……。」 |
戦場に羅刹丸が立って、両手を広げて叫んでいる。 羅刹丸「覇王丸! テメェ、出てきやがれッ!」 羅刹丸、大きく刀を振るって、刀を左腕に乗せる。 羅刹丸「……どこにいようと、必ず見つけてやるぜェ。」 刀を右肩に乗せる。 羅刹丸「そっ首、斬り落としてやるからよォ!」 両手を広げて笑う。画面が上にスクロールして暗転。 |
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黄泉ヶ原の空から画面が下にスクロールすると、右京と膝を突いて目を閉じる夢路がいる。 夢路「私は、生家を離れ、放浪の後に我旺様に召されました。幕府に反旗をひるがえし、戦に敗れし我旺様の腹心……。この黒河内夢路、天下の大罪人と成り果て、母に如何なる姿を晒せるものでしょうか。」 |
夢路「私は、生家を離れ、放浪の後に我旺様に召され――」 画面が上へスクロールして暗転。 |
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右京「……。」 夢路「右京殿。この夢路を哀れんでくださるならば どうかこの首、生家の一本松の根元に……埋めてくださいませ。」 右京「……。」 右京、抜刀の構えを取る。 夢路「一思いに……お願い申し上げます。」 右京、抜刀すると秘剣ささめゆきを繰り出す。右京が刀を納めると、夢路の長髪が落ちる。目を開いた夢路、驚いたように右京へ向く。 夢路「右京殿!? なんのおつもりか! この夢路に情けは無用!」 右京、構えを解き、夢路に背を向けて立つ。 右京「 夢果てて 春やは遠き 人の路 右京」 一拍置いて、 右京「……夢路殿。生きられ……よ。」 夢路「右京殿!」 右京「……御免。」 右京、走り去る。画面は上へスクロールして暗転。 浜辺に場面がうつり、画面が左へ移動すると右京が立っている。 右京、右側へ向き直ると、吐血して膝を突く。 右京「 朧なる 月のあはれむ我命 誰が為にとぞ 浮世に刻まん 右京」 画面が上へスクロールして暗転。 右京ED 了 |
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真っ黒な画面に文字。 「一年後……」 暗転し、画面が枯華院の参道に切り替わる。 骸羅(らしき坊主)が吹っ飛ばされてフレームイン、同時に羅刹丸が飛び込んでくる。 羅刹丸、倒れた骸羅(らしき坊主)の前に着地すると振り返り、骸羅(らしき坊主)を蹴る。坊主フレームアウト。 羅刹丸「テメェなんざ小便と変わんねェんだよ」 羅刹丸、刀の鞘に手を置くと、背後の参道を顔だけで振り返る。 羅刹丸「ここかァ。ここに覇王丸がいるって話だが……」 羅刹丸が振り返ると画面が右へ少し移動する。そこには刀を構えた覇王丸がいた。羅刹丸、刀を振りかぶる。 羅刹丸「ついに見つけたぜェ、覇王丸! 俺はテメェのニセモノなんかじゃねェ! テメェをブッ殺して、心臓抉り出して食っちまえば俺が本物の覇王丸だ……! ヘッヘッヘ、本気で行くぜェ? っと、手加減しねェと心臓まで斬り刻んじまうなァ。」 覇王丸「……あのとき」 羅刹丸「あン?」 覇王丸「……あのとき、あなたに不覚を取ることさえなければ 今は違う未来だったのかもしれませんね。後悔しているわけではありませんが……。」 覇王丸の姿が刀を持った尼僧の姿に変わる。羅刹丸、両手を広げ、怒りに震えながら叫ぶ。 羅刹丸「……テ、テメェ! 俺を騙しやがったのかァッ!」 尼僧「俗世との関わりも断ち、刀も封じたつもりでしたが……」 一拍置く。 尼僧「これが最期の神夢想一刀流……!」 羅刹丸、刀を振り上げる。 羅刹丸「糞虫がァッ!」 振り下ろそうとして一歩踏み込むと、尼僧が後の先を取る。 尼僧(ボイス)「神夢想一刀流奥義、御神薙!」 一瞬背景が黒くなり、尼僧が刀を斬り上げて駆け抜けると、羅刹丸が倒れる。(アーケード版は首が飛ぶ) 羅刹丸「うッ? うぎゃああああぁぁぁぁッ!?」 尼僧、刀を納める。 尼僧「…………。 十六夜の 月にたなびく我心 誰が為にとぞ 闇夜に光らん 夢路」 尼僧姿の夢路、走り去る。 背景がモノトーンになり、倒れていた羅刹丸が立ち上がる。 羅刹丸「ヘッ……ヘッ、ヘッヘッヘ……殺してェ奴がふたりに増えちまったなァ……」 両手を広げて笑う。画面が上へスクロールし、一瞬真っ赤に染まって暗転。 羅刹丸ED 了 |
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オープニングの浜辺に場面が戻る。 雪路「それで、夢路は……あの子は今どこに?」 右京「わかりません。先日、飛騨の枯華院に立ち寄った折、偶然にも……犯した罪は生涯をかけて、人々の役に立つことで償う――そう言い残され、枯華院を去っていかれました。決意は固い様子でしたので、引き止めることもかなわず、申し訳ございません。ただ、夢路殿からの伝言、母君にお伝えいたします。」 雪路「あの子はなんと言ってましたか……?」 右京「母君の子としてこの世に生を受けたことを、生涯の誇りにする――と。」 雪路「――夢路、私を許してくれるの……?」 一拍置いて、 右京「……おそらくは、母君のことを恨んだことなど一度もないかと。では、これにて。」 右京が立ち去ろうと数歩進むと、夢路の母が呼び止める。 雪路「待って、右京さん……。」 一拍置いて、 雪路「あなたの身体のことを思うと何と謝ればいいのかずっと悩んでいたけれど……もう悩みません。例え死に目に会うことすら叶わなくても、あなたを子に持てたことを生涯の誇りにします。――と、もしも夢路に会うことがあったら……伝えてくださいな。」 右京「……必ずお伝えいたします。……御免。」 右京歩き出してフレームアウト。画面は夢路の母一人を映してから左へ移動し、夢路の母がフレームアウト、右京がフレームイン。 右京の姿が刀を持った尼僧に変わる。 尼僧(夢路)「母上……どうか、ご壮健で……」 画面が上へスクロールして暗転。 夢路ED 了 |
補足と考察 | ||
サム零もう一つのメインストーリーとでも言うべき、右京と夢路のお話。羅刹丸がオマケのようですが、まあ仕方がない。 後になれば触れる機会が無くなってしまうので、先に羅刹丸について。 作中でも、ゲームのキャラとしても、羅刹丸という存在は凄まじくぞんざいです(駄洒落ではなく、ホントに)。 名前からして、羅刹覇王丸を無理矢理独立させたという感が漂っていますが、十中八九ただそれだけでネーミングされた、いわばただのコピペキャラだと断定していいでしょう。なんせ、スタッフ内でも「コピペ丸」と呼ばれていたくらい。元ネタは、しろー大野氏の漫画「覇王丸地獄行」の黒覇王丸で、斬紅郎無双剣やアスラ斬魔伝に出てきた、強さを求め羅刹となった覇王丸とは意図的に変えたようです。 個人的に勝ち台詞の「俺に勝てる夢でも見たか?」は好きなのですが、ストーリーパートでひたすら糞尿と臓物の事ばかり喋るのはちょっと……。 物語の立ち位置も微妙で、反面の覇王丸という設定なのですが、「反面の〜」関連が出てくるのは作中時間で4年も後、壊帝ユガの時。それも反面のアスラと反面の色の二人しか反面キャラはいなかったのに、なぜこの時点で反面の覇王丸が存在するのかといった設定は謎――というより、無いと思われる。 覇王丸の心臓を食えば本物になれるというのも、真実なのか思いこみなのか明記されておらず、恐らく思いこみだろうが、なぜそのような考えに至ったかという経緯も一切不明。更に言うなら、その覇王丸との本編での絡みが一切無い。ストーリー考察における羅刹丸の役割は、夢路の物語を補完するパーツとしか言えない。ちょっといじれば良いキャラになったかも知れないだけに、少し惜しい。 さて、右京と夢路がメインなので、お二方の出番としましょう。 右京に黒河内左近という名の師がいることは真サム時点で判明しており、斬サムの時には斬紅郎によって左近が殺された事が右京の旅の切っ掛けとなります。つまり、神夢想一刀流と黒河内はサム零で初出だった訳ではなく、右京ファンにはなじみ深い名前だったという事。 夢路は性別不詳で、中性的な顔立ちの女性なのか、それとも右京のような線の細い男性なのかが、一時期議論を呼びました。よく見るとバストアップ絵の唇がほのかに桃色で塗られており、更には女子供にしか言わない外道の「うまぞう」の対象であること、殺してくれと頼む夢路に右京が髪(別名:女性の命)のみを斬ること、そして一見関係のなさそうな羅刹丸EDで恐らく尼僧と思われるような格好で登場すること、こういった理由からのみ女性だと推測できます(一応やられボイスが女性っぽい悲鳴なんですが、ゲーセンではまず聞こえません)。公式小説やPS2版で追加された夢路ストーリーから察するに、夢路は少なくとも男性ではありません。万が一の可能性で両性具有というものも残っているので、女性と断定は出来ませんが、女性という認識で問題はないでしょう。 右京・夢路・羅刹丸の三人を統合した零のストーリーラインとしては、右京が黒河内雪路に夢路の事を訊ねられ、夢路を探し出そうと旅に出る(右京OP)、その後右京と夢路は再会し、夢路は羅刹丸に遅れをとって我旺を守りきれず、崩れ落ちる夢路の元へ右京が再びやって来る。殺してくれと頼む夢路の髪を斬り、生きろと告げる(右京ED)。夢路は尼僧として枯華院に身を寄せるが、一年後、羅刹丸がやって来る。夢路は捨てたはずの剣を再び手に取り、最後の一刀として奥義・御神薙(みかなぎ)で羅刹丸を斬り捨てる。夢路はそのまま枯華院を去る(羅刹丸ED)。そして、(恐らくは右京に母が心配している事を聞かされていたため)母・雪路に会いに行くが、合わせる顔を持たないと思っているため、右京の姿を借り、夢路からの伝聞という形で母の元を去ってからの事を話す(夢路OP)。母・雪路は目の前の右京が偽物、つまり夢路であると気付きながらも、右京の姿を借りる夢路の心情をおもんぱかって、右京に語りかける言葉の裏に夢路への言葉を乗せる。夢路はそれに気付きながら、母に別れを告げるのだった――というもの。 今作では右京は22歳、夢路は18歳です。 夢路が家を出て我旺に拾われたのが3年前なので15歳の時。夢路が家を出た際の描写が公式小説にありますが、氷雨の降る夜に父と争いになったのが直接の原因です。公式小説によると、父であり師である黒河内左近は夢路に、殺してやる、死んでしまえ、黒河内の恥晒し、という罵声を浴びせながら斬りかかり、夢路は咄嗟に抜刀して父に手傷を負わせてしまったとあります。父に刀を向け、師に傷を負わせては家にいることはできず、夢路は心が壊れてしまったように氷雨の中に立ち尽くしていました。そこに帰ってきたのが兄弟子、橘右京。お互いを友と認め合い、互いの剣を認め合った二人でしたが、口下手な右京は夢路に何も言葉を掛けられず、夢路はそのまま去ることになります。 なぜ左近は夢路を殺そうとまでしたのか、その理由は私なりの結論から言うと、夢路が女性である事を左近は知らなかった、というのが真相ではないかと考えます。 産まれて15年も隠し通せるのかという気もしますが、夢路の母、黒河内雪路が隠し通して育てたというのであれば、説明できないでもありません。 ネックになるのは15歳という年齢。通常、男性ならば12歳〜14歳くらいで二次性徴が現れます。女性の場合は11歳〜13歳くらいです。それまでは線の細い男、美男子と言われれば区別はつきにくいでしょう(現に右京という線の細い美男子が既にいましたし)。女性の二次性徴として顕著な初潮や月経は母・雪路が他人に隠そうと意識すれば隠し通せるでしょう。体に丸みが出る事は、修行で引き締まっているでしょうし、胸などは膨らんでもさらしで隠す事が可能。しかし男性の二次性徴として顕著な声変わりと、骨格の変化はいかんともし難いでしょう。夢路の声は女性にしては低い方ですので、少しはごまかしがきいたでしょうが、どうしても筋力や骨格には差が出てしまいます。同じ量鍛えても(黒河内左近は家督を重んじるとあるので、他の弟子よりもしっかり鍛えている可能性もある)、男性とは筋肉の付き方が違う。これでは隠し通せるものではないでしょう。家督を重んじる左近が、ずっと跡継ぎだと思っていた夢路の性別を知り、激怒した、そういう事だろうと考えたわけです。 一応先述の「万が一の可能性」についても書いておきますが、両性具有というのは漫画や小説の中だけのものではなく、実際に存在します。よって、夢路がそうであるという可能性がゼロとは言い切れませんし、開発側がそういう設定にしている可能性もゼロとは言えません。こういう可能性を残したのは、左近の怒り方があまりにも激しいからというのが大きな理由です。夢路は神夢想一刀流の歴史でも数人しか会得することの出来なかった口伝・雪風巻(ゆきしまき)を使うことが出来ます(サム零およびSPでは存在しませんが、天下一剣客伝では使用可能)。黒河内左近は、幼い頃より夢路に雪風巻の片鱗を見ており、多大な期待をよせていました。それが女性だったと解っただけで殺そうとまでするのか、という(現代日本人には理解しがたい)疑問があったのです。 まあ、家督を重んじるのであれば、女性が後を継ぐという事は忌むでしょう。特に女性は月経の血がネックになり、「血の穢れ」を嫌う神道、転じては神事や奉納を行う武道では忌避される傾向にあります。大峰山の女人結界や相撲の土俵の女人禁制がその例ですね(山に関しては、山の神様は女だから同性を嫌うという理由もあり)。黒河内家の剣術も、神夢想一刀流と、「神」の一字を持つ事から、女性に家督を継がせないというのは当時の文化とも相まって至極当然の成り行きに感じます。推論になりますが、そんな状態で、ずっと性別を奥さんにも子供にも偽られてきたと解ったら、キレもするかも知れません。 ただし、これらの事は夢路を男性ではないという前提での考え方です。公式小説に同場面を右京視点で描いている部分があり、そこを引用しますと、 ----- 雨音に混じって声が聴こえた。ふたつ。道場の裏手にあろう黒河内左近の屋敷から。おやめください、おやめください、と悲鳴に近い女の哭き声と――殺してやる、死んでしまえ、黒河内の恥晒し、お前のような下衆に家督は継がせぬ――と罵倒を繰り返す男の声。 右京の視線が血と雨の滴る刀に向けられると、夢路は自虐的な笑みを浮かべて、刀を払い鞘に納める。 何故、このような事態になったのか、右京は偶然知ってしまっていた。 些事だと右京は思う。剣の道を極めるのに、全くの些事だと思う。 だが、黒河内家と神夢想一刀流を継ぐためには、些事と片付ける訳にはいかなかった。家督を重んじる黒河内左近にとっては――。 ----- とあります。気になったのが「お前のような下衆」という箇所。下衆と言われる程の事を夢路がしたのかという点です。ただ性別を偽っていただけでここまで言われるものでしょうか。しかし、作中にも小説中にもそのような事は書かれておらず、それを示唆するような文章や演出もありません。 ところで「下衆」には心の卑しい者の他に、身分の低い者も含まれます。黒河内左近が当時の日本では当たり前というほど横行していた、いわゆる男尊女卑に激しく取り付かれていたのならば、我が子に下衆と言い放つかも知れません。もしくは、親を騙し続けていた「心」を批判したのかも知れません。考えてみるとやはり夢路は男性ではないという前提で結構でしょう。 夢路は右京に言葉をかけて貰えず、うつろなまま彷徨いますが、そこで我旺に拾われ、居場所を見つけるわけです。 この夢路、右京と相対したときの狼狽といい、公式小説での描写といい、右京に惚れていたのではないかと思わせる要素がふんだんにあります。あの時、右京が手を差し伸べてくれたのならば――、そういう感情がくすぶりながらも、あの時手を差し伸べてくれたのは右京ではなく我旺なのだ、だから自分は我旺と共に、そう心に決めた強さ――というよりも弱さ、人間味が夢路の我旺に心酔する理由なのでしょう。我旺は夢路にとって立派な人物でしょうが、それは助けてくれた恩や助けてくれなかった右京への想いなどから、なかば自己暗示的に心酔している気がします。右京と相対したときの狼狽、それはまだ夢路の中で右京に対する気持ちの整理が完全にはついていないからでしょう。 そして、ようやく日が当たった元祖ライバルキャラ、橘右京。 彼は夢路の事を終生の友と思っています。剣の腕については尊敬さえしています。ところが悲しいかな恋愛対象ではないのです。右京は恋愛に関しては凄まじい奥手であり、あまり積極的でもないように思えます。それは口下手な事と、いずれ死ぬ事が解っている不治の病の両方が作用しているのかも知れません。 零の時点での右京は、生きることに希望を持っておらず、目的もありません。小田桐圭への想いはありますが、それは右京を生に留まらせるほどの力を持っていないのです。公式小説の中で、三年前夢路に何もしてやれなかった事、言葉さえかけられなかった事への後悔が、自分をこの世に留めているのだろうかと書かれています。零のOPでも最期に誰かの役に立つならばと奮起しますし、公式小説中でもほぼ同じ動機、今度こそ夢路をという理由で奮起します。 かなり格好良いですが、公式小説ではさらに心理描写を掘り下げているので、右京ファン以外にもおすすめです。この生きる希望を持てず、病魔に蝕まれる自らを恥じる右京が、どうして圭という結ばれる事のない女性のために命を賭けるほどの強さを持つようになったか、という点にも触れられています。 作中のセリフや演出を見ていると面白いのですが、夢路が右京に化けている際、文章の量(つまり右京が喋る量)が本物とは雲泥の差という程増えています。そして、夢路の「黒河内夢路、参る!」というセリフが「黒河内夢路……参る!」と、名乗りから参ると言うまでが長い時があります。この「……」に変わる相手は、右京と我旺のみ。また、右京が唯一エクスクラメーションマーク(感嘆符、ようは「!」)を使うのは、闇キ皇に支配された我旺と戦うときのみ。恐らくこれまでは我旺に対して、夢路を助けた、夢路の拠り所である、といった理由からある程度納得していたのが、黒い力に身を任せるのを見て本気で怒ったのでしょう。 ベタといえばベタなお話ですが、複雑といえば複雑。格ゲーにしてはという言い方をするのも何ですが、格ゲーではなくとも上手い構成の、良いお話だと思います。 ただ、二人とも思い人への想いを遂げられずに終わるというのが、少々可哀相ではありますね。 後日注 Wikipediaの「架空の格闘技・武術」の項目で右京と夢路の「神夢想一刀流」が掲載されていました。 ここに書けるほどの知識を持ち合わせていないので、あえて書いていませんでしたが、「神夢想一刀流」は実在の剣術です。 黒河内夢路は創作でしょうが、黒河内の姓を持つ“神夢想”の使い手は確実に存在していました。後述しますが、恐らく黒河内左近は実在します。 これはまだ私が調べ切れていないから断言できないのですが、明治維新の際、会津藩一の使い手に黒河内伝五郎兼規という人物がおり、その伝五郎が使った剣術が「神夢想無楽流」および「神夢想一刀流」です。 伝五郎は女性のような風貌で、居合いの達人(というか武芸全般の達人で剣聖とさえ呼ばれる)。また、国学者沢田名垂の高弟として和歌も詠んだそうです。この黒河内伝五郎の居合をモデルにしたとされるのが、小説「座頭市」。 伝五郎は居合の「神夢想無楽流」、剣術の「神夢想一刀流」、柔術の「稲上心妙流」、槍術の「法蔵院高田派」、薙刀術の「清流」、手裏剣術の「白井流」の他、鎖鎌術や吹針術などを修め、“手裏剣を5m先から小銭の穴に命中させた”、“口に何本もの針を含み、全て的の同じ点に命中させた”といった逸話も残されています。 元々伝五郎は黒河内家の出ではなく、黒河内治助兼博の養子として神夢想無楽流居合術を学びます。 “神夢想”は代々黒河内家が宗家だったらしく、黒河内左近兼孝→黒河内治太夫兼義→黒河内治助兼博→黒河内伝五郎兼規という系譜で受け継がれました。 さあ、ようやく左近の名前が出てきました。でもここで出番終わりです(ぉ この左近は1753年(宝暦3年)1月に10石を貰って師範となったとあるので、それ以前に神夢想があったか否かは不明です。また、左近がいつ亡くなったかも今の私では調べられませんでした。 伝五郎は晩年、眼病がもとで失明てしまいます。その後の戊辰戦争で新政府軍が若松城に迫った際、傷を負った次男・百次郎を介錯し、己も自刃して65年の生涯を閉じたそうです。伝五郎が死んだ翌日には長男・百太郎も戦死したと言われています。 今一この伝五郎さんがピンと来ない人のために、身近になる補足を一つ。大東流合気柔術の創始者(中興の祖が正解らしいけど、門外不出だったのを世に広めた)、武田惣角の義父です。 ほらピンと――こない? 大東流合気柔術といえば、「餓狼伝説WILD AMBITION」に登場した坂田冬次が使った大南流合気柔術のモデルです。ちなみに、坂田冬次も会津若松の出だったりして芸が細かいです。この坂田冬次と同門でライバルだったのが周防辰巳、辰巳に古武術を学んだあと殺したのがギース。辰巳の孫と言われているのがブルー・マリーと、芋づる式に設定が繋がっていきます(笑) この辺りの話はもう少し調べてから、この考察かキャラクターデータベースに掲載します。 |