剣客風説草紙二之回風間 火月 |
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沈む太陽が何もかもを紅く染めるなか、火月は岸壁の先に立ち、眼下の海を静かに見ている。 そして、少し離れた位置からその様子を心配そうに見つめている葉月。 打ち寄せる波を見る火月の表情は何かを決意した者の顔をしていた。 炎邪の力を我が物とした火月。 守るべきものと、それを果たせるだけの力を手に入れた彼の心には、今や一つの思いしかなかった。 その思いを、振り向きざまに口にする火月。 「葉月…これからは二人で、静かに、平和に生きていこう。」 それを聞いた葉月の目に涙が浮かぶ。 そして笑顔を浮かべて火月に駆け寄った。 その一部始終を離れて見ていた影があることに二人は気付いてなかった。影は、火月と葉月が去った後も二人が立っていた場所を暫く眺め続け、誰に云うこともなく呟いた。 「フッ…甘いですね…。」 (終わり) |
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一之回の幻十郎と同じく、火月も「アスラ斬魔伝」のエンディング後である。 ---エンディング引用開始--- 轟、と地面に立つ火柱。業炎の中から現れた影は、火月である。火影に染まった形相の前で、拳を固く握りしめていた。 眼前では、泣きながら妹・葉月が駆け寄ってくる。人形師は闇に帰し、葉月は救われた。 炎邪に魂を食われる覚悟は出来ている。 火月が目を閉じた瞬間、炎邪の声が火月の耳に響いてきた。 「真の強者よ……。我、汝の力に屈したり……。我、ぬしの一部とならん」 火月が我に返るのと、声が消えたのは同時だった。己の中の邪をねじ伏せた火月に恐れるものはなく、拳には新たな力が満ちてくる。 「行くぜ、葉月!」 火月は守るべき妹の手を取った。火柱が爆ぜた時、兄妹の姿はもうなかった。 ---引用終了--- アスラのエンディング時点では「兄妹の姿」だが、風説草紙を見ると、兄妹とも恋仲とも取れる描写になっている。これに後付けだが、サムライスピリッツ零での「好みのタイプ:葉月」というダメ押し設定が付いてしまったのが現在の火月である。 また、サム零および天下一剣客伝の設定では、炎邪は1000年前に大陸で仙術を学んでいた人間であり、闇に堕ちた師を封じた以後、自らも力に憧れて魔界にくだり、魂だけの存在となったという事になった。さらに、人に憑依して地上で活動する事が出来るため、自らが使うための身体を人間の女に産ませ、その子が成長した頃に憑依し、新たに人間の女に身体を産ませるという行為を繰り返しており、火月もそのために産み落とされた子供であるという設定も存在する。 詳しくはキャラクターデータベースの火月の項を参照して欲しい。 |